福岡平尾のお店ばなし (旧トルコバイク巡り)

2020/3末より福岡で飲食店始めたのでその与太話(@HIRAO_NO_DONER)。[旧題]アダナよりトルコ各地を125ccバイクで巡ります

08. 「お前はシリア人か」とよく聞かれる

本日二度目の来訪カフラマンマラシュからアダナへ帰るとき、アダナ行きの長距離バスへ乗り込んだら既に自分の窓際の席に座っている30代くらいの男が居た。「ここ私の席だと思うんですが... 」「いや、俺の席だと思うけど... 」最初私が比較的低めに攻めたのは、そのバスはシート番号が見当たらず、窓際のこの辺の席というあたりでしか無かったからだ。ともあれ他の席の窓際は埋まっていたのでほぼ間違いなくこの席で合っているだろう、聞いてみると相手の席は自分の予測が正しければ自分の隣の通路際の席だった。

別に相手はふてぶてしい態度でも無かったので、その後バス添乗員に確認してもらって私が窓際の番号で間違いないということになり席は問題なく譲って貰った。彼は「インターネットでこの席を取ったと思うんだけどなあ」風なことを言っていた。この人が確信犯的にやったかは分からないが、トルコではよくあることだ。個人的にはオバサンのほうがやってる気がする。

 

席取りに関しては前もこういうことはあった、今もトルコに慣れたとか海外の空気に慣れたとか思ってないし考えないようにしているが、初トルコ旅行ではもっとぬけぬけと席を占拠していた若者に何も言い返せなかった自分も今回に関してはそれなりに成長しているのだろう。


その後、通路側の席へ移ってもらった男性から言われた。「お前の出身はどこだ、シリア人か?」と。

少しスローに、感傷的になった。その少し前にマラシュに居る友達とも似たような話をしたばかりだったからである。

 

 

カフラマンマラシュに3日滞在する中でふと「自分は何人に見られるか」という話題があり、そのトルコ人の友達に私は「俺トルコで一番何人かって聞かれるかと言えば、回数的にはシリア人なんだよね」と言った。補足が2点必要である、私の容貌について、私はここ最近は肌もそれなりに日焼けし、顔つきも誰かと言えば西郷隆盛の顔をもうちょっと薄くして若くしたような雰囲気だと思っている、ザ日本人顔ではない。だがどう転んでもアラブ顔ではない、頑張ってカザフスタンウズベクの顔である。

そしてもう一点の補足は、今回はバスの中でバス乗客として聞かれたので例外だが、私がいつ最も「シリア人か?シリア出身か」と聞かれたのはアダナで数ヶ月太陽照りつける中外で肉体労働していた時である。簡単に言うと各家庭に水をお届けするような仕事で、私の見た目は明らかにトルコ人風ではなかったので(確かにトルコで日本人として許容内の顔つきの人が居ない訳では無い、が)初回訪問はほぼ確実に国籍や出身を聞かれた、もっとも何も全く聞かない家もあったが。その中で、控え目に100件聞かれた場合、40ー50件はまず「シリア人か?」と聞かれたのである。何故か、私はその時本当に理解出来なかった。

後々いくつか説を立てたのは、1.こういう質問をする人は外国に対する知識が極端になく、外国といえばロシアかシリアかアメリカかと言ったような穴あき脳で本当にシリア人だと思っている部類である、2.本当にシリア人とは思ってないが自分への拒否感情を表すためにそういう言葉を選んでいる人等 3.彼ら自身も実はシリア人で同胞であれば嬉しいから一応聞いている人々 4.その他(例:シリア内部の日本人に比較的似ている少数民族のことを言っている?)

ちなみに仮説3. 4. は限りなくゼロという結論に至った。

私もトルコをまだ全然理解できていない、だがトルコの労働環境格差は日本よりはるかに大きい。そして多くの人が初対面の人に親の職種や自身の職を尋ねる土壌文化である。そしてトルコでのシリア人のイメージの問題でもある。当時も今もだが、非常に多くのシリア人がトルコで働いている、彼らの仕事は当然ながらトルコ社会の下の方でうごめく汚い、キツイ、安い、肉体的な仕事である。当然例外もあるだろうが。水運びは残念ながら上級なイメージの仕事ではない。この問題の核心はこうである、マラシュの友達に伝えたことは「観光地や普通にトルコにいるときは中国人か日本人かって聞かれるんだけど、おんなじ服装なのに、アダナで配達のバイクに乗って働いてるときはシリア人かってめちゃくちゃ聞かれたよ」

 

マラシュの友達の意見では「彼らは本当に馬鹿だから本当にシリア人だと思ったのだろう」というまとめだったが、それでもあまりに検討違いな予測国籍を聞かれるのはちっとも嬉しくない。彼に関しては、海外の大学に行った方で、君はどう転んでもシリア人に見えないし(イースト)アジア顔だと言って頂いた、そういうトルコ人は馬鹿だ、と。

その数か月の間に本当に膨大に出身地は聞かれたので今のところ聞かれたトップは「シリア人」である。

当然私がシリア人に偏見があって「シリア人と呼ばれるのは嫌だ!」という話ではない、別に子供に何人と聞かれようと心外ではないが40-50-60歳の家にテレビもありインターネットが繋がるスマートフォンを持っている人から同じようなことを何度も聞かれるのが虚しくなってしまうし、ときにイラっとするだけである。もちろんシリア人じゃないと分かっていてそういう質問をしていたならしょうがないが...。

 

国籍と民族的なものをごっちゃにすると私の今回の話は解釈不足になるが、将来的には顔つきと国籍の関係がなんだ言う話でもあるが、そういった出来事が今日あった。

 

なお本日にて2週間近くの旅行(アダナ→イネギョル→イスタンブル→ソフィア→カフラマンマラシュ→アダナ)も終わりである。今日あたりからトルコは祝日だ。